うとうととして

古典を少しずつ読みます。

2021-01-01から1年間の記事一覧

使用価値は物としてのわれわれにそなわっているものではない。(ディーツ版97頁)

「ボタンまでかけた上着の現身(うつしみ)にもかかわらず、リンネルは上着のうちに同族の美しい価値魂を見たのである。」(ディーツ版66頁、岡崎次郎訳。) 66頁から、97頁、100頁と、少しずつ間をおいて、似たような内容が出てきます。 だが、先まわりする…

もし労働者が自分の処理しうる時間を自分自身のために消費するならば(ディーツ版247頁)

資本家は労働力をその日価値で買った。 一労働日のあいだの労働力の使用価値は彼のものである。つまり、彼は、労働者を一日のあいだ自分のために働かせる権利を得たのである。 だが、一労働日とはなにか? とにかく、自然の一生活日よりは短い。 どれだけ短…

物の人化と人の物化(ディーツ版128頁)

商品に内在する使用価値と価値との対立、私的労働が同時に直接に社会的な労働として現われなければならないという対立、特殊な具体的労働が同時にただ抽象的一般的な労働としてのみ認められるという対立、物の人化と人の物化という対立、---この内在的矛盾は…

机が商品として現れるやいなや、それは一つの感覚的であると同時に超感覚的なものになってしまう(ディーツ版85頁)

商品は、一見、自明な平凡なものに見える。商品の分析は、商品とは非常にへんてこなもので形而上学的な小理屈と神学的な小言でいっぱいなものであることを示す。商品が使用価値であるかぎりでは、その諸属性によって人々の諸欲望を満足させるものだという観…

米国から英国への綿花、穀類輸出(ディーツ版475頁)

米国から英国への綿花、穀類輸出(ディーツ版資本論第1巻475頁) 表 米国から英国への綿花輸出推移(1846-1860) (単位はトンに換算しました。) 綿花(トン)1846 1823211852 3472841859 4362231860 506159 表 米国から英国への穀類輸出 単位はトンに換算…

リンネルは上着のうちに同族の美しい価値魂を見た(ディーツ版66頁)

上着の生産では、実際に、裁縫という形態で、人間の労働力が支出された。だから、上着のなかには人間労働が積もっている。この面から見れば、上着は「価値の担い手」である。といっても、このような上着の属性そのものは、上着のどんなにすり切れたところか…

どんなに過度労働がロンドンの製パン工をかたづけてしまうか(ディーツ版282頁)

われわれは、どんなに過度労働がロンドンの製パン工をかたづけてしまうかを聞いたが、それでもなお、ロンドンの労働市場はドイツ人や他の命がけの製パン業志願者であふれているのである。 (岡崎次郎訳) 英国にドイツからの(また他の地域からの)移民が多く…

労働力の所有者は、今日の労働を終わったならば(ディーツ版185頁)

労働力の所有者は、今日の労働を終わったならば、明日も力や健康の同じ条件のもとで同じ過程を繰り返すことができなければならない。だから、生活手段の総額は、労働する個人をその正常な生活状態にある労働する個人として維持するのに足りるものでなければ…

 ある歴史的な精神的な要素を含んでいる(ディーツ版185頁)

食物や衣服や採暖や住居などの自然的な欲望そのものは、一国の気象その他の自然的な特色によって違っている。他方、いわゆる必要欲望の範囲もその充足の仕方もそれ自身が一つの歴史的な産物であり、したがって、だいたいにおいて一国の文化段階によって定ま…

これらの室の一つには8人が寝ているが(ディーツ版718頁)

これらの室の一つには8人が寝ているが、その室は奥行12フィート10インチ、間口12フィート2インチ、高さ6フィート9インチだった。平均容積は室内に出張った部分も含めて一人当たり約130立方フィートだった。 (岡崎次郎訳) 検算してみます。 1フィート=0.…

労働者の子供の搾取が彼らの生産につけるプレミアム(ディーツ版671頁)

このような事情のもとでは、プロレタリアートのこの部分の絶対的増大は、その構成要素が急速に消耗するにもかかわらずその数を膨張させるという形態を必要とする。つまり、労働者世代の急速な交替である。 (この法則は人口のうちの他の諸階級にはあてはまら…

資本による未熟な労働力の直接間接の搾取(ディーツ版514頁)

とはいえ、親の権力の乱用が資本による未熟な労働力の直接間接の搾取をつくりだしたのではなく、むしろ逆に、資本主義的搾取様式が親の権力を、それに対応する経済的基礎を廃棄することによって、一つの乱用にしてきたのである。 (岡崎次郎訳) この箇所は…

二重の意味で自由(資本論、ディーツ版183頁)

だから、貨幣が資本に転化するためには、貨幣所有者は商品市場で自由な労働者に出会わなければならない。自由というのは、二重の意味でそうなのであって、自由な人として自分の労働力を自分の商品として処分できるという意味と、他方では、労働力のほかには…

週に1万重量ポンド糸を作る紡績工場の例。(資本論、ディーツ版233頁)

週に1万重量ポンド糸を作る紡績工場の例です。計算問題です。 注意すべき点は、 ・ポンドが、重量のポンドと通貨のポンドとあること ・通貨が、12ペンスが1シリング、20シリングが1ポンドであること ・分数が用いられていること です。 まぎらわしいので、ポ…

決定的に革命的な機械、それはミシンである(ディーツ版495頁)その2。婦人服製造か婦人帽製造か。

決定的に革命的な機械、すなわち、婦人服製造、裁縫、靴製造、縫い物、帽子製造、等々のようなこの生産部面の無数の部門をすべて一様にとらえる機械、------それはミシンである。 (岡崎次郎訳) Die entscheidend revolutionäre Maschine, welche die sämtl…

決定的に革命的な機械、・・・それはミシンである。(資本論、ディーツ版495頁)

決定的に革命的な機械、すなわち、婦人服製造、裁縫、靴製造、縫い物、帽子製造、等々のようなこの生産部面の無数の部門をすべて一様にとらえる機械、------それはミシンである。 (岡崎次郎訳) Die entscheidend revolutionäre Maschine, welche die sämtl…

ほかのいろいろな物にたいする力手段として(資本論、ディーツ版194頁)

労働手段とは、労働者によって彼と労働対象とのあいだに入れられてこの対象への彼の働きかけの導体として彼のために役立つ物またはいろいろな物の複合体である。労働者は、いろいろな物の機械的、物理的、化学的な性質を利用して、それらのものを、彼の目的…

彼に特有な表現様式に媚を呈しさえした(資本論、ディーツ版27頁)

それだからこそ、私は自分があの偉大な思想家の弟子であることを率直に認め、また価値論に関する章のあちこちでは彼に特有な表現様式に媚(こび)を呈しさえしたのである。 (岡崎次郎訳) 今回検討した資本論の文の、特に注目した箇所の原文は次の通り。 … …

大工業の一般的な動因として(資本論ディーツ版398頁)

ウォットの偉大な天才は、1784年4月に彼がとった特許の説明書に示されているが、そこでは彼の蒸気機関が、特別な目的のための発明としてではなく、大工業の一般的な動因として説明されている。 (岡崎次郎訳、国民文庫) 動因って何かしら。なじみのないこと…

永遠の未完成 マルクス -ブログ開設にあたって-

永遠の未完成の人、今の達成にあぐらをかかないマルクスを師匠としたい。 平子友長(たいらこ・ともなが)先生の文章を数年前読み、驚きました。カール・マルクスは、自分自身の見解も、一つところに安住せず、言わば作っちゃ壊し、作っちゃ壊し、してきたと…

頭から爪先まで毛穴という毛穴から血と汚物をしたたらせながら(資本論、ディーツ版788頁)

文言から頭に浮かぶことと著者の描こうとしたことが合っているのか、ズレてはいないか、と疑問に思うことがあります。そういう箇所を、翻訳文と原文をつき合わせたり、別の翻訳を参照したりして、探っていきます。 もしも貨幣は、オジエの言うように、「ほお…