うとうととして

古典を少しずつ読みます。

物の人化と人の物化(ディーツ版128頁)

商品に内在する使用価値と価値との対立、私的労働が同時に直接に社会的な労働として現われなければならないという対立、特殊な具体的労働が同時にただ抽象的一般的な労働としてのみ認められるという対立、物の人化と人の物化という対立、---この内在的矛盾は、商品変態〔形態変換〕の諸対立においてその発展した運動形態を受け取るのである。

岡崎次郎訳)

 

 変態はもとのことばはMetamorphose(メタモルフォーゼ)です。たとえば芋虫→蛹→蝶が変態です。

 物の人化と人の物化は、もとのことばはPersonifizierung der Sache und Versachlichung der Personenです。新日本出版社版では「物の人格化と人格の物化」と訳されています。

 Versachlichungは、しばしば物象化と訳されます。「物件化」と訳すべきだ、と、田上孝一先生が主張しておられ、かなり説得力があります。

 

[文献]

1)田上 孝一(2011)、マルクスの物象化論と廣松の物象化論、 季刊経済理論 48(2):40-49。