うとうととして

古典を少しずつ読みます。

大工業の一般的な動因として(資本論ディーツ版398頁)

 ウォットの偉大な天才は、1784年4月に彼がとった特許の説明書に示されているが、そこでは彼の蒸気機関が、特別な目的のための発明としてではなく、大工業の一般的な動因として説明されている。

岡崎次郎訳、国民文庫

 

 動因って何かしら。なじみのないことばです。

 もとはAgentです。辞書では代理人、代理店、ほかの語義があげられています。(デイリーコンサイス独和辞典。)これらの語義を上記の動因と置き換えてみても、うまくはまりません。

 語源はラテン語のagereです。英語のagentの語源と共通するので英和辞典を調べてみます。

 英和辞典には、代理人、代理店ほかの語義のほか、(反応・変化などを起こす)力、元になる力、作因;(現象を生ずる)自然力とあります。(研究社 新英和中辞典から。)

 こうして回り道して岡崎次郎訳に戻ってくると、動因ということばに、なるほど、と思います。

 意味をとると、「大工業の一般的な原動力として」としてよさそうです。

 

 

[付記] ちなみに、中国語訳を参照すると、「大工業普遍応用的発動機」(の簡体字)となっています。