週に1万重量ポンド糸を作る紡績工場の例です。計算問題です。
注意すべき点は、
・ポンドが、重量のポンドと通貨のポンドとあること
・通貨が、12ペンスが1シリング、20シリングが1ポンドであること
・分数が用いられていること
です。
まぎらわしいので、ポンドは適宜重量ポンド、通貨ポンド、と記します。
6%糸くずが出るので、原料の綿花は週に1万600重量ポンド必要である。
綿花の価格は1重量ポンドあたり7と3/4ペンス。
1万600重量ポンドの綿花の費用は
7と3/4×10600=82150
=240×342+70
=240×342+12×5+10
(240ペンスが1通貨ポンド、12ペンスが1シリングなので)
342ポンド5シリング10ペンス となる。
1年を簡単のため50週とする。
機械設備の価格が1万通貨ポンド。1年で10%損耗する。10%は1000通貨ポンド。1週で20通貨ポンド。(減価償却費。)
補助材料として石炭、ガス、油がある。
石炭は週に11トン必要である。石炭の価格は1トンあたり8シリング6ペンス。
11トンの石炭の費用は
(12×8+6)×11=12×8×11+6×11
=12×88+66
=12×(20×4+8)+66
=240×4+12×8+12×5+6
=240×4+12×13+6
4ポンド13シリング6ペンス となる。(20シリングが1通貨ポンドなので)
丸めて4と1/2通貨ポンドとなる。
1週分のガスの費用は1通貨ポンド。
1週分の油の費用は4と1/2通貨ポンド。
1週分の補助材料の費用は
石炭の費用+ガスの費用+油の費用
=4と1/2+1+4と1/2
=10 で、10通貨ポンドとなる。
工場建物の週あたり賃貸料は6通貨ポンド。
週あたりの不変価値部分は
綿花+損耗+補助材料+賃貸料
=342+20+10+6
=378 で、378通貨ポンドである。
1週間あたりの労賃は52通貨ポンド。
糸の価格は1重量ポンドあたり12と1/4ペンス。
1万重量ポンドの糸の売値は
12と1/4×10000
=12250
=240×510+10
=240×510+12×8+4
510ポンド8シリング4ペンスとなる。以下、丸めて510ポンドとする。
1週間分の剰余価値は
510-(378+52)=80で、 80通貨ポンドとなる。
1週間あたり、労働力に支出される貨幣額(v):52通貨ポンド。
1週間あたりの剰余価値(m):80通貨ポンド。
剰余価値率m/v=80/52。これを百分率にする。
8000=52×153+44 なので
80/52×100=153+44/52
=153+11/13 (%)となる。
必要労働:剰余労働=52/(52+80):80/(52+80)
=13/33:20/33。
(ここは、次の計算のため、足して1になるようにしています。)
10時間の平均労働日(1日労働時間)では、
必要労働は13/33×10=3+31/33(時間)。
剰余労働は20/33×10=6+2/33(時間)。
[付記] 本題ではないのですが、ここで出てくる32番手の糸、というのは綿花1ポンドから32×840ヤードとったときの細さを表すそうです。(1ポンドは453.6グラム、840ヤードは768.1メートル。)ふだん我が家でボタン付けに使っている糸は30番手のようです。