うとうととして

古典を少しずつ読みます。

週に1万重量ポンド糸を作る紡績工場の例。(資本論、ディーツ版233頁)

 週に1万重量ポンド糸を作る紡績工場の例です。計算問題です。

 注意すべき点は、

 ・ポンドが、重量のポンドと通貨のポンドとあること

 ・通貨が、12ペンスが1シリング、20シリングが1ポンドであること

 ・分数が用いられていること

です。

 まぎらわしいので、ポンドは適宜重量ポンド、通貨ポンド、と記します。


 6%糸くずが出るので、原料の綿花は週に1万600重量ポンド必要である。
 綿花の価格は1重量ポンドあたり7と3/4ペンス。
 1万600重量ポンドの綿花の費用は
  7と3/4×10600=82150
   =240×342+70
   =240×342+12×5+10
  (240ペンスが1通貨ポンド、12ペンスが1シリングなので)
   342ポンド5シリング10ペンス となる。
 1年を簡単のため50週とする。
 機械設備の価格が1万通貨ポンド。1年で10%損耗する。10%は1000通貨ポンド。1週で20通貨ポンド。(減価償却費。)
 補助材料として石炭、ガス、油がある。
 石炭は週に11トン必要である。石炭の価格は1トンあたり8シリング6ペンス。
 11トンの石炭の費用は
  (12×8+6)×11=12×8×11+6×11
    =12×88+66
    =12×(20×4+8)+66
    =240×4+12×8+12×5+6
    =240×4+12×13+6
     4ポンド13シリング6ペンス となる。(20シリングが1通貨ポンドなので)
     丸めて4と1/2通貨ポンドとなる。
 1週分のガスの費用は1通貨ポンド。
 1週分の油の費用は4と1/2通貨ポンド。
 1週分の補助材料の費用は
  石炭の費用+ガスの費用+油の費用
   =4と1/2+1+4と1/2
   =10  で、10通貨ポンドとなる。
 工場建物の週あたり賃貸料は6通貨ポンド。
 週あたりの不変価値部分は
  綿花+損耗+補助材料+賃貸料
   =342+20+10+6
   =378 で、378通貨ポンドである。
 1週間あたりの労賃は52通貨ポンド。
 糸の価格は1重量ポンドあたり12と1/4ペンス。
 1万重量ポンドの糸の売値は
  12と1/4×10000
   =12250
   =240×510+10
   =240×510+12×8+4
     510ポンド8シリング4ペンスとなる。以下、丸めて510ポンドとする。
 1週間分の剰余価値
   510-(378+52)=80で、  80通貨ポンドとなる。
 1週間あたり、労働力に支出される貨幣額(v):52通貨ポンド。
 1週間あたりの剰余価値(m):80通貨ポンド。
 剰余価値率m/v=80/52。これを百分率にする。
   8000=52×153+44 なので
   80/52×100=153+44/52
        =153+11/13 (%)となる。
 必要労働:剰余労働=52/(52+80):80/(52+80)
          =13/33:20/33。

  (ここは、次の計算のため、足して1になるようにしています。)

 10時間の平均労働日(1日労働時間)では、
  必要労働は13/33×10=3+31/33(時間)。
  剰余労働は20/33×10=6+2/33(時間)。

 

[付記] 本題ではないのですが、ここで出てくる32番手の糸、というのは綿花1ポンドから32×840ヤードとったときの細さを表すそうです。(1ポンドは453.6グラム、840ヤードは768.1メートル。)ふだん我が家でボタン付けに使っている糸は30番手のようです。