うとうととして

古典を少しずつ読みます。

機械の全発達史は製粉水車の歴史によって追うことができる(資本論第1巻ディーツ版369頁註43)

機械の全発達史は製粉水車の歴史によって追うことができる(資本論第1巻ディーツ版369頁註43)

 

 人の知るように、アイルランドでは最近の20 年間に亜麻工業が大いに発達し、それにつれて、アイルランドのスカッチング・ミル(亜麻を打って皮をはぐ工場)が非常にふえてきた。そこには 1864 年にはこの工場が約 1800あった。

資本論第1巻ディーツ版505頁。岡崎次郎訳。)

 

 機械の全発達史は製粉水車の歴史によって追うことができる。工場は英語ではいまなおmill〔水車〕と呼ばれている。19世紀の最初の数十年間のドイツの技術学書では、自然力で動かされるすべての機械を表わすだけではなく機械的装置を用いるすべての製造所を表わすためにも、まだMühle〔水車〕という表現が見出される。

資本論第1巻ディーツ版369頁註43、岡崎次郎訳。〔水車〕は岡崎次郎訳の割註。)

 

 

 手元の英和辞典には「mill ①(水力や風力を利用する)ひきうす、製粉機;製粉場。②コーヒーなどを手でひく器具。③製造工場。」とあります(『新クラウン英和辞典 第4版』(1977年))。

 手元の独和辞典には語義は「Mühle ①製粉所;水車小屋、風車小屋。②製粉機;コーヒーミル。」(以下略、工場の語義なし)とあり、用例は「Wassermühle水車小屋、水車。Windmühle風車小屋、風車。」とあります(『新アルファ独和辞典』(1997年))。

 英語のmillとドイツ語のMühleが同系統の言葉であり、英語では工場の語義が残っているけれども、ドイツ語では工場の語義は廃れてしまった、ということのようです。