「~歳から・・・歳まで」は、資本論の第8章にしばしば出てきて、下記の引用からは「8歳から12歳まで」は8歳以上12歳未満を指す、と考えられます。しかしながら、そう言い切ってよいのか、今一つ確信が持てませんでした。つまり、「8歳から12歳まで」が8歳以上12歳未満以下を指すこともあるかもしれない、という迷いでした。
それは、8歳から12歳までの子供は1日8時間、12歳から16歳までの子供は12時間、等々と定めているが、しかしそれには多くの例外規定があって、それは8歳の子供にさえ夜間労働を許すのである。(資本論第1巻、294頁 註133)
英国の統計を調べていて、G. R. Porter(1851)(17頁)に次の表を見つけました。
イングランド、アイルランドの人口からそれぞれ1万人を〔ランダムに〕とると、年齢層ごとの内訳は1841年には以下のようになる。
England | Ireland | |
Children under 15 years | 3,605 | 4,041 |
Adults between 15 and 50 | 5,041 | 4,921 |
Elderly people between 50 and 60 | 642 | 606 |
Above 60 years old | 712 | 432 |
10,000 | 10,000 |
上記の表から、
between 15 and 50 は、15歳以上50歳未満 を指すこと、
between 50 and 60 は、50歳以上60歳未満 を指すこと、
above 60 years old は、60歳以上 を指すこと、がわかります。
『資本論』以外のところに用例をみつけただけではありますが、自分の考えはまず間違いなかろう、と思えました。またドイツ語のzwischenの用法は英語のbetween の用法と同じ、とみなしてよいのか? という論点がありますが、よいことにします。(ドイツ語原文で「8歳から12歳まで」は”zwischen 8 und 12”です。)
[引用文献]
Porter, G. R. (1851),
The progress of the nation, in its various social and economical relations, from the beginning of the nineteenth century.
J. Murray.〔J. Murray は出版社。〕 Google Books で閲覧できる。
[2023.4.30.追記] 資本論第1巻467頁註217、同書489頁表も参照。
[2023.4.30.訂正] 「8歳から12歳まで」が8歳以上12歳未満を指すこともあるかもしれない→「8歳から12歳まで」が8歳以上12歳未満以下を指すこともあるかもしれない