うとうととして

古典を少しずつ読みます。

穀物法の廃止はイギリスの農業に異常な衝撃を与えた(資本論第1巻、ディーツ版705頁)

 穀物法の廃止はイギリスの農業に異常な衝撃を与えた。非常に大規模の排水、人工飼料植物栽培の新方法、機械的な施肥装置の採用、粘土地の新処理法、鉱物性肥料使用の増加、蒸気機関や各種の新作業機などの使用、いっそう集約的な耕作一般がこの時代を特徴づけている。資本論第1巻、ディーツ版705頁、岡崎次郎訳。太字強調はブログ主による。)

 

 排水がどういうことかわからず。アイルランド農業について調べていると下記の記載を見つけました。

 

〔18世紀中葉におけるノーフォーク農法の時代においては〕砂質壌土の土地の多い地方では泥灰土や粘土の施用、粘土質の重質壌土の地方では効果的な排水設備(effective drainage)の開発・設置などが重要視され、さらに適切な土地の手入れ(suitable soil dressing)や施肥などということが重要であった。とくに粘土質の土地の状態を改善したり、より作業がしやすい状態にするために、より効果的な排水設備の導入が必要不可欠であった(この点については、ノーフォーク農法の時代よりも高度集約農業の時代になるにつれて、いっそう重要視されることになる)。さらに土地の肥沃度の維持・増大ということと関連しながら、混合農業の効果を増大させるための四輪作の長期的維持ということについては、クローバーやかぶら(家畜にとって重要な飼料であり、それによって飼育された家畜の糞は農産物の重要な肥料になるという意味において、ノーフォーク農法の原点であり、もっとも重要な要因であった)の正常な栽培ということが必要であった。

 ところが、アーサー・ヤングがノーフォークに最初に旅行した1768年においてさえも、クローバーとかぶらの病気が発生して深刻な農業問題をひきおこしていた。とくにかぶらは天候の急変によって損害を受けることが多く、その収穫はあてにならなかった。またその損害は排水設備のおそまつな土地においてひどかった。そこで病害に強いsainfoinや紫馬肥(lucern、alfalfa)すなわちクローバーにかわるものを使用したり、しかもかぶらにかわる丈夫で越冬性のスエーデンかぶらやmangel-wurgelを導入したりと、輪作に変化をもたらすことが当時としては必要であった。

(染谷孝太郎(1983)。太字強調はブログ主による。亀甲括弧〔 〕内はブログ主が補った。)

 

 これで了解しました。

 

[引用文献] 染谷孝太郎(1983)、ハイ・ファーミングへの歴史的発展過程―フランドル農法とノーフォーク農法―、明大商学論叢 65(3・4・5):47-66。