うとうととして

古典を少しずつ読みます。

この国の労働を資本主義的奴隷制度から解放するために必要な現下最大の急務は(『資本論 第1巻』ディーツ版23巻319頁。)

(・・・)ボルティモアの全国労働者大会(1866年8月16日)は次のように宣言する。

「この国の労働を資本主義的奴隷制度から解放するために必要な現下最大の急務は、アメリカ連邦のすべての州で標準労働日を8時間とする法律の制定である。われわれはこの輝かしい成果に到達するまで、われわれの全力を尽くすことを決意した。」

 それと同時に(1866年9月初め)ジュネーヴの「国際労働者大会」は、ロンドンの総務委員会の提案にもとづいて、次のように決議した。

「われわれは労働日の制限を、それなしには他のいっさいの解放への努力が挫折するよりほかはない一つの予備条件として宣言する。・・・・・・われわれは8労働時間を労働日の法定限度として提案する。」

 こうして大西洋の両岸で生産関係そのものから本能的に成長した労働運動は、イギリスの工場監督官R・J・サーンダーズの次のような陳述を裏書きするのである。

「社会の改良へのさらに進んだ諸方策は、もしあらかじめ労働日が制限されて、規定されたその限度が厳格に強制されるのでなければ、けっして成功への見込みをもって遂行されることはできないのである。」(『資本論 第1巻』ディーツ版23巻319頁。岡崎次郎訳。)

 

 

国際労働者大会(1866年)「われわれは労働日の制限を、それなしには他のいっさいの解放への努力が挫折するよりほかはない一つの予備条件として宣言する。

R・J・サーンダーズ(1848年)「社会の改良へのさらに進んだ諸方策は、もしあらかじめ労働日が制限されて、規定されたその限度が厳格に強制されるのでなければ、けっして成功への見込みをもって遂行されることはできないのである。

 このふたつの文は、同じことを別の言い方で言っていると言ってよさそうです。

 


 ここで、2024年5月27日の記事で取り上げた『児童労働調査委員会。第5次報告書。1866年。』別付25ページ、第160号を振り返りましょう。

(160)上記の製造業の諸部門すべてに法の保護が拡張されて、適度かつ規則正しい労働時間と作業場のより良い衛生状態が保証されれば、これら諸部門において、そのことは非常に多くの児童、少年、婦人の健康、安楽さ、改善手段に大いに有益であろう。(ブログ主による訳。)

 

 「健康、安楽さに大いに有益であろう」はわかるけれども、「改善手段に大いに有益であろう」という言い方がぼんやりしていました。予備条件ということばを使って、もとの文に一部手を加えて、次のようにブログ主の解釈を提示してみます。

(160)上記の製造業の諸部門すべてに法の保護が拡張されて、適度かつ規則正しい労働時間と作業場のより良い衛生状態が法律により保証されれば、これら諸部門において、そのことは非常に多くの児童、少年、婦人の健康、安楽さに大いに有益であろうし、もろもろの改善手段の予備条件ともなるであろう(下線部はブログ主による改変。)

 

 「健康、安楽さ、改善手段」という抽象的な言い方で言っているのですが、法の保護により、休養時間・食事時間を確保できたり、学校にきちんと通えたり、日曜は教会に行けたり、といったことを指しているのではないか? と今のところ考えています。この報告書のどこかに書いてあるかもしれません。

 

 [2024年8月5日追記] 第160号の訳ですが、原文にないことを付け加えたこと、また付け加えた内容がわかるように明記すべきでした。なので、次のように改めます。

(160)上記の製造業の諸部門すべてに法の保護が拡張されて、適度かつ規則正しい労働時間と作業場のより良い衛生状態が〔法律により〕保証されれば、これら諸部門において、そのことは非常に多くの児童、少年、婦人の健康、安楽さ、改善手段に大いに有益であろう。〔つまり、健康、安楽さに大いに有益であろうし、もろもろの改善手段の予備条件ともなるであろう。〕(ブログ主による訳。亀甲括弧内はブログ主。)