うとうととして

古典を少しずつ読みます。

立法があるにもかかわらず、今でも大ブリテンでは少なくとも2000人の少年が(ディーツ版23巻419頁。)

(・・・)立法があるにもかかわらず、今でも大ブリテンでは少なくとも2000人の少年が生きている煙突掃除機として(彼らに代わる機械があるのに)彼ら自身の親たちによって売られるのである[126]。(・・・)

[註126] 同前『第5次報告書』〔『児童労働調査委員会第5次報告書。1866年』〕別付22ページ、第137号。(ディーツ版23巻419頁。岡崎次郎訳。亀甲括弧〔 〕内はブログ主。)

 

 岡崎次郎訳の用語法(訳語の選択)では少年は多くの場合13歳から18歳までを指します。つまり、現代日本でおおよそ中学生から高校生にあたります。なので、そのようにイメージしていました。しかしながら、原文にあたると、少年たちはほとんど全てが5歳から10歳まででした。つまり、むしろ岡崎次郎訳の用語法では児童にあたります。

 原文は次の通り。(GoogleBooksで下記の一部をコピーアンドペーストして検索すると探し当てられます。)

The main facts are that there is an estimated number of at least 2,000 boys, nearly all between the ages of 5 and 10, still employed in climbing  chimneys in various towns and counties in England; that these boys suffer greatly, physically and morally; that the disgraceful scandal continues of  children of tender age being sold by their parents for the purpose of this employment; that master sweeps resort in numberless instances to dishonest practices in order to produce an impression that the sweeping machines fails of its effect, and they club together to pay the small penalties which the magistrates in so many cases inflict, and thus set the penalties of the law at nought.(太字強調はブログ主。)

 

主たる事実は以下の通りである。少なく見積もって2000名の少年たち(ほぼすべて5歳と10歳の間の年齢)がイングランドのさまざまなや町や州で、いまだに煙突掃除のために雇用されていること、これらの少年たちは身体的にも精神的にも大変苦しんでいること、幼い年齢の児童が、この雇用という目的のために自分たちの両親によって売られるという恥ずべき不祥事が続いていること、掃除親方が掃除のための機械は役に立たないという印象作りのために数知れない場面で不正直な行為に訴えたこと、掃除親方たちが協力してかなり多くの事例で判事が科した少額の罰金を支払うことで法の罰金を無効にしたこと、である。(ブログ主の訳。太字強調はブログ主。)

 

[2024年6月18日追記][参考] 労働日のところで、工場主たちが労働日延長の衝動に駆られて法令を破る話が出てきます。

「法定時間を越える過度労働によって得られる特別利潤は、多くの工場主にとって抵抗しうるには大きすぎる誘惑に思われる。彼らは、見つからないという幸運をあてにしており、また発覚した場合でも罰金や裁判費用はごくわずかなので彼らには差し引き利益が保証されているということをあて込んでいる。」工場監督官報告書1856年10月31日34ページ。(ディーツ版23巻256-257頁。岡崎次郎訳。太字強調はブログ主。)