資本論第1巻(ディーツ版729頁)の表Cの値を検算します。
1864年 | ||
小麦 | オート麦 | |
作付面積(エーカー)① | 276483 | 1814866 |
1エーカー当たり収穫量(ハンドレッドウェイト)② | 13.3 | 12.1 |
総生産物(①×②×4)(クォーター)③ | 14708896 | 87839514 |
表Cの総生産物(クォーター)④ | 875782 | 7826332 |
③/④ | 16.8 | 11.2 |
以下同様に計算して下の表 算出された生産物量と表Cの生産物量の比 を得ます。
ただし、①×②×4の×4はハンドレッドウェイトからクォーターへ単位を変換するためです。じゃがいもについては単位はトンなので×4は不要です。また、ビーア麦・裸麦については、作付面積の内訳は示されていませんが、収穫高から下記の通り算出しました。
ビーア麦・裸麦の作付面積(エーカー) | |||
ビーア麦 | 裸麦 | 計 | |
1864 | 3403 | 5491 | 8894 |
1865 | 3518 | 6573 | 10091 |
算出された生産物量と表Cの生産物量の比 | ||
1864 | 1865 | |
小麦 | 16.8 | 16.8 |
燕麦 | 11.2 | 11.2 |
大麦 | 14.4 | 14.4 |
ビーア麦 | 14.7 | 14.9 |
裸麦 | 14.7 | 14.9 |
じゃがいも | 0.99 | 0.99 |
かぶら | 4.0 | 4.0 |
ふだんそう | 4.0 | 4.0 |
きゃべつ | 4.0 | 4.0 |
(燕麦はオート麦、オーツ麦のこと。)
じゃがいもの数値は計算がほぼ合います。
かぶら、ふだんそう、きゃべつの数値は、表Cの数値は単位がハンドレッドウェイトであれば、計算が合います。つまり、単位を間違ってクォーターと書いてしまったと思われます。
小麦、燕麦、大麦、ビーア麦、裸麦の数値は、計算が合いません。
[次の課題] 本多三郎(1975)によれば、燕麦は飼料作物の役割が大変大きい。燕麦含め、表Cの農作物が、どのくらいの割合で飼料作物として利用されていたのか、が次の課題です。
アイルランドの総耕地の過半近くに作付されているオート麦(1880年におけるオート麦作付面積は総耕地3,171,259エーカーの45%に当たる1,381,928エーカーであった。Agricultural Statistics, Ireland, 1881)は、その収穫の3分の2近くが家畜飼料用作物であったと考えられる(1912年の数字であるが、総生産高95.5万トンのうち60.7万トンが家畜飼料として消費された。E. J. Riordan, Modern Irish Trade and Industry, 1920, p.61)。(本多三郎(1975)から)
[引用文献]
本多三郎(1975)、アイルランドにおける農民層分解と地主的土地清掃ー19世紀後半アイルランド土地問題(3)ー、経済論叢 116(3-4):143-116。